今月は、太陽、海、文化がひとつになる遠く離れた旅先に思いを馳せます。まずは、アメリカ最南端のフロリダ沖に位置する島、キーウェストから。自然の美しさ、素晴らしいダイビング、そして特徴的なヴィクトリア朝時代の建築で知られています。続いて、ユネスコ登録都市フエの端に位置するベトナムの川沿いの隠れ家へ。そして最後は、サンタモニカとフランス沿岸のラ・ロシェルへと向かいます。
32室のヴィクトリア様式の邸宅と6室のコーチハウスからなるパイン・ツリーズ・ホテルは、10エーカーの人里離れた庭園に囲まれた英国邸宅風の落ち着いた隠れ家です。客室、特に庭園側の部屋では、ハイランド地方のロマンと現代的な快適さが重なり合っています。深めのバスタブ、ウールのブランケット、漂う松林を切り取る窓を思い浮かべてください。
階下の「ファウナ・レストラン」では、地元産の鹿肉から繊細に仕上げられたシーフードまで、スコットランドの食材を洗練された形で提供しており、素朴さと上品さを兼ね備えています。インテリアはニュートラルカラーを基調に、サーモンピンクやシダのグリーンをアクセントに効かせた、現代的な英国カントリースタイルです。
なかでも特に印象的なのが「フローラ・バー」。深いグリーンのファブリックを用いた曲線的なバンケット席、植物モチーフ、落ち着いたゴールド調の装飾が廃された、包み込まれるような空間。夕食後にスコッチウイスキーを片手に長い夜を過ごしたくなる場所です。
この隠れ家の魅力は、島時間に身を委ね、ゆったりと過ごせること。キーウェストを象徴するボヘミアンスタイルの宿、エラズ・コテージズは、鮮やかな装飾と色彩にあふれながらも、居心地が良くリラックスした雰囲気です。
緑豊かな庭園に囲まれた中庭には、人目を避けたプールがあり、まるで友人のヴィラに滞在しているかのような、プライベート感があります。風化した下見板張りの外壁やルーバー付きの窓が個性と魅力を添え、潮風とクチナシの香りが漂います。
室内では、ヴィンテージのラタン家具と真っ白なリネンが調和し、ゆっくり朝食を楽しめるキッチンも完備。朝はポーチのブランコで過ごし、夜はセミの羽音に包まれながら、光とぬくもりで絶えず表情を変える空を眺めます。ここは、瞬く間に我が家のように感じられ、何度も訪れるリピーターが多いのも納得です。
フロリダ南岸沖の美しいキーウェスト島にあるウィンズロウズ・バンガローズは、伝統的なホテルというより、もうひとつの我が家のように感じられる場所です。オールドタウンに位置し、客室は複数の独立型バンガローに分かれていて、芝生の小道を通ってポーチへ向かいます。
ビーチやこの素晴らしい目的地の自然を探索して戻る途中も、まるで地元の住宅街を歩いているような感覚になります。近くには、1900年代初頭に建てられたフロリダ最古級のカトリック教会「セント・メアリー・スター・オブ・ザ・シー聖堂」があり、石造りのヴィクトリア様式ファサードが見どころ。
その後は、白く塗られたバンガローに囲まれた美しいプールで、のんびりと午後を過ごしたくなります。近隣には、6本指の猫で有名なアーネスト・ヘミングウェイ旧宅の見学や、ボートで行くドライ・トートゥガス国立公園でのウミガメとの遊泳など、探索できる場所も豊富です。
コレクションに新たに加わったキーウェストの宿、リドリー・ハウスは、1884年頃に建てられた島の歴史的建築をブティックリトリートとして再生したものです。この建物は、リドリーウミガメを発見した博物学者がかつて所有していたもので、白い下見板張りの外観やコーヒーカラーの木床など、歴史的な趣を残しています。
木製シャッター、白い柵、ロッキングチェアのあるポーチ、塗装された切妻屋根など、まさにキーウェストらしい理想的な風景そのものです。室内はオールホワイトを基調に、濃い木材の本棚、上質な張り地の家具、ラタン素材のアクセントを取り入れた、大人っぽくリラックス感のある空間です。
午後には、装飾付きパラソルの木陰で開かれる「サイプレス・サングリア・ソワレ」へ。プールサイドでサングリアを楽しみながら、ゲスト同士が自然と交流します。


立地という点では、ライトハウス・ホテル以上の場所はなかなかありません。キーウェストの「アーネスト・ヘミングウェイ・ホーム&ミュージアム」の向かいに位置し、オールドタウン中心部のデュバル・ストリートから徒歩わずか5分です。この通りはバーやレストランが立ち並び、メキシコ湾から大西洋まで続いています。
この歴史ある宿には、白い木製パネル、ラタンのヘッドボード、サンゴ色やティールカラーの鮮やかなアクセントを備えた海辺の別荘のような客室があり、一部の部屋はプールエリアへ直接つながっています。
ヤシの木とストライプ柄のラウンジャーに囲まれた中庭は、このホテルの社交の中心。夕方になるとバーには穏やかな会話が広がり、フローズン・マルガリータやラムパンチを楽しむゲストで賑わいます。
可能であれば、ラップアラウンドバルコニーと深めのバスタブを備えた「ヘミングウェイ・スイート」に宿泊してみてください。
アゼライ・ケーガー・ベイは、ベトナム南部の静かな海岸線に沿って建つ穏やかなビーチフロントリゾートです。緑豊かな庭園に囲まれ、東シナ海を見渡すこの場所は、都会の喧騒から離れた静かな逃避先を提供しています。
リゾートは、現代的な快適さと自然の美しさを融合させており、優雅なヴィラ、大型インフィニティプール、ビーチへと直接アクセス可能です。ゲストは、新鮮なシーフード、スパトリートメント、サイクリングやカヤックなどのアウトドアアクティビティを楽しめます。
静けさに満ちたこのリゾートは、心身を癒す滞在にも、ロマンティックな逃避行にも最適。打ち寄せる波の音に耳を傾けながら、ただゆったりと過ごす贅沢を味わえます。
ベトナム中部は、今なお比較的観光地化されておらず、地元の暮らしや文化をありのままに感じられる地域です。ハノイとホーチミン市の中間、香水川のほとりに建つ「アゼライ・ラ・レジデンス」は、ベトナム有数の歴史都市フエに佇む静かな隠れ家です。
最後の王朝の帝都であったフエの広大な城塞と宮殿群は、ユネスコ世界遺産に登録されています。この魅力的な歴史ある街をたっぷり巡った後は、アゼライの穏やかな静けさが心を癒してくれます。
40メートルの塩水プールでゆったりと泳いだり、広々としたスパでトリートメントを受けたりした後は、ファインダイニングレストラン「ル・パルファン」で美しく芸術的に盛り付けられた料理をお楽しみください。


「メゾン・デ・アンバサドゥール」は、豪華な設備というよりも、外交官で作家でもあったアルベール・ボダールの物語を軸にした世界観が魅力です。客室や共有空間は「旅の途中の停留所」を思わせるように設計され、旅や文化交流、もてなしへのさりげないオマージュが散りばめられています。
たとえば「ボダール・バー」は、典型的なホテルバーではなく、会話が自然に生まれるプライベートサロンのように設計されています。また、18世紀の歴史的建造物と、抑制された現代的インテリアとの対比も特徴です。
海辺らしい典型的な装飾に大きく頼るのではなく、控えめで内省的とも言える色調を採用し、文学的な雰囲気を醸し出しています。
「メゾン・トゥエンティ・セブン」は、1927年頃に建てられた邸宅を改装したブティックホテル。ムーア風メディテラニアン・リバイバル建築の貴重な例で、漆喰壁、アイアン装飾、アーチ型回廊、中庭が特徴です。
客室は一般的なホテルのレイアウトというより住居的な性格を持ち、多くが簡易キッチン付きのスタジオまたはスイートとして構成され、重なり合う質感豊かなインテリアが特徴です。
デザインは、テラコッタカラー、ストライプの日除け、模様入りタイル、陽光に洗われたような漆喰壁など、どこか懐かしいカリフォルニアと地中海の雰囲気を基調としながら、照明や家具には現代的なデザインをさりげなく取り入れています。
館内は一般的なホテルのような屋内廊下ではなく、屋外の通路やテラスで各スペースがつながっており、ヴィラのような開放感があります。サンタモニカ海岸近くにありながら、まるで誰かの別荘に滞在しているような雰囲気が漂う場所です。