世界があまりにも慌ただしく感じられるとき、山は究極の解毒剤となってくれます。冬には雪に包まれ、春には野花が咲き誇る高地の隠れ家は、静けさ、新鮮な空気、手つかずの自然の中で得られる“より深い休息”へと私たちを誘います。
SLH(スモール・ラグジュアリー・ホテルズ)のウェルビーイング・コレクションの一部であるこれらのリトリートは、単なるスパ体験にとどまりません。フェイシャルの前には森林浴で心身を整え、ジムのトレッドミルに代えて、自然の中で意識的に歩くマインドフルなハイキングを楽しみます。アルプスの自然リズムに根ざした滋養ある食事とともに、季節を問わない本質的な再生を提供します。

1.フーベルトゥス・マウンテン・レフジオ・アルゴイ(ドイツ)

アルプスとアジアが出会う、ドイツのスローフード・スパ

バイエルンの山々に抱かれるこのスローフード・リトリートは、単に身体を養うだけでなく、「意識的に食べる」という行為そのものを祝福します。フーベルトゥス・マウンテン・レフジオ・アルゴイには、曜日ごとに使い分けられる7つのダイニングルームがあり、オーナーであるトラウベル一家は、多くの生産者と直接顔の見える関係を築いています。キッチンと密に連携し、アーユルヴェーダやヴィーガン料理を含む、健康的なメニューを生み出しています。
そして目を引くのが、アルプスとアジア双方の伝統を融合させた、蝶をモチーフにしたスパです。アルパイン・ゼン・ガーデンは日本の温泉プールと自然に溶け合い、ドイツらしい山々を望むインフィニティプールが広がります。
静寂の中で迎えるサンライズ・ハイクやヨガクラス、日曜には地元教会でのミサ、シンギングボウル瞑想、額に温かいオイルを垂らして思考を鎮めるシロダーラなどのアーユルヴェーダ施術、スイスのスキンケアブランドによる精密なフェイシャルまで用意されています。
すべての背景には、澄み切った山の空気、静けさ、そして沈黙があります。ここは、よりよい人生へと再起動するための場所です。

2.フォレスティス(イタリア)

ドロミテで自然と古代の儀式に立ち返るウェルネス・リトリート南チロルは、イタリアの中でも特に神秘的な地域です。エメラルド色の森、白く輝く山々、そして驚くほど澄んだ空気の中に、イタリア文化とドイツ文化が交差しています。フォレスティスは、そんな土地に完璧に溶け込む現代的なエコ・ハイダウェイ(隠れ家)です。従来のスパの常識にとらわれず、この地に伝わる古代ケルトのドルイド僧のルーツを取り入れています。
自然を基盤とするドルイド哲学は、心をゆるやかにし、この風景のリズムと調和する感覚をもたらします。リゾート内に時計はありません。時の流れは、1日2回の壮大な日の出と日の入りによって刻まれます。太陽がドロミテの鋭い峰々を、サーモンピンクからペルシャレッドまで、希望に満ちた赤のグラデーションで染め上げる瞬間です。
苔むした森の空き地で裸足になり、ケルト版マインドフル・ヨガともいえる「ウィダ」を実践し、地元のカラマツやトウヒ、松の精油を使ったサウナの儀式で春の水蒸気に包まれながら、森が持つ本来の精神性を全身で受け取ります。森の恵みから生まれた治癒オイルによるマッサージ、山の清らかな水、地元農家のオーガニック食材や森で採取された滋味あふれる料理。
それは、平穏と静けさ、そして明晰さに満ちた、数世紀前へとそっと立ち返る旅です。

3.ガンテロッジ(ブータン)

僧侶から瞑想の技術を学ぶことができるヒマラヤの隠れ家

この伝統的な農家建築を現代的に昇華させたロッジに足を踏み入れた瞬間、精神が一段高い次元へ引き上げられるような感覚に包まれます。ガンテ・ロッジは、ヤクが草を食む牧草地が広がる静かなポブジカ渓谷を見下ろす高台に位置し、さらに17世紀建立のガンテ僧院を正面に望むという、比類なき精神性を備えています。

ウェルビーイング哲学は、この自然と文化の恵みを最大限に活かしています。神聖な谷を古道に沿ってハイキングしたり、より内省的な体験として、早朝の浄化儀式に参加し、トゥルク(高僧の生まれ変わり)から瞑想を学ぶこともできます。

一方で、土地に根ざした体験も用意されています。地元の農家を訪ね、牛の乳搾りやチーズ作り、畑仕事を手伝うことも可能です。植物由来の治療用エッセンシャルオイルを使ったマッサージで、心身を深く癒した後は、伝統的なブータンの石焼風呂「ドツォ」に浸かりましょう。ミネラル豊富な川石を熱して湯を温め、森のハーブが薬効をもたらします。

ここで過ごす数日は、歩みを緩め、内なる静けさが静かに立ち現れるのを受け入れるための、優しい招待状となるでしょう。

4.オアジーホテル(トスカーナ、イタリア)

文化的な彩りを添えた、トスカーナの自然保護リトリート

フィレンツェ近郊、アペニン山脈に広がる1,000ヘクタールの原生自然保護区。車の立ち入りを禁じたこの地には、人工音のない完全な静けさが満ちています。オアジーホテルは、心と自然の深い結びつきを育み、日々をより健やかに生きるための前向きで安定した精神状態へと導きます。
世界的に著名なアーティストがこの場所のためだけに制作した彫刻やアート作品が点在し、森の中を歩く体験そのものを、より豊かで奥行きのあるものへと高めています。敷地内に広がる透明度の高いエメラルドグリーンの湖は、自然のままの水で泳ぐことができる、貴重で贅沢な場所です。
丘の上の野花咲く草原でのヨガで一日を始め、夜には星座を探しながらの瞑想的なナイトウォークで締めくくる。スパトリートメントもまた自然に根ざし、地・水・空気・太陽を讃えます。地元産で100%オーガニックのオイルやクリームを用い、熟練セラピストの手によって、現代社会のストレスを静かに解き放ちます。
柳の木陰に設えられた木製デッキで受けるマッサージでは、鳥のさえずりと葉擦れの音が、最高の癒やしの音楽となります。ここでは五感すべてが静かに目覚め、心身が自然と完全なリセットへと向かっていきます。

5.ブータン・スピリット・サンクチュアリ(ブータン)

パロ近郊、松林に囲まれた谷でのパーソナライズド・ウェルネス

「すべてを止めて降りてしまいたい」と思わせるような魔法の感覚を伴うウェルネス体験を求めるなら、ネイフ渓谷の松林に隠されたヒマラヤの楽園、ブータン・スピリット・サンクチュアリ以上の場所はありません。
要塞のような僧院建築を模したこの施設では、中庭に足を踏み入れた瞬間、静かな安らぎが広がります。
まず案内されるのは、ブータン伝統医学の医師とのカウンセリングです。脈を診て、目を覗き込み、舌を出させるだけで、驚くほど的確な健康診断を行い、心・体・精神のバランスを整えるための道筋を示してくれます。
敷地内のスパガーデンで育つ60種以上の薬草を使った、オーダーメイドのハーバル・コンプレス、ホットストーン・バス、マッサージオイルが用いられます。毎日のヨガやシンギングボウルのセッションに加え、屋内温水プール、サウナ、スチームルームで、山歩きの疲れを癒すのもおすすめです。
ブータンのウェルビーイングは文化全体に根ざしているため、医師は地元の占い師を訪ねたり、僧院での瞑想に参加したり、時には農家の人々とダーツを楽しむことまで勧めるかもしれません。