ロビン・デイヴィス(インスタグラムで@rozzadとしても知られる)は、35mmフィルムで旅を記録し、どこかノスタルジックな雰囲気を醸し出す逃避芸術家のような存在です。彼女のスタイリッシュなセンスで、細かなディテールと全体像を見極め、完璧なブティックホテルでの宿泊に必要な要素を明らかにしていきます。

ホテルを巡る達人として…
私はこれまでの年月の中で「ホテルで欠かせないものリスト」をひそかに作り上げてきました。なかには目立たない廊下に隠れているものもあれば、チェックインする前から気づくものもあります。理想的なホテル滞在にはそのすべてが揃っているかもしれませんが、実際には一つか二つあれば、私はそのホテルの常連客に変わってしまうのです。

最初に挙げるべきは―部屋の鍵。
小さくても大きな力を持つ部屋の鍵は、よく見過ごされがちで、軽量なカードキーが好まれることが多いですが、私にとっては、シックな部屋の鍵が第一印象を決定づけるのです。タッセル付きの鍵でドアを開けるのは、まるで「不思議の国のアリス」のような気分にさせてくれます。ホテルの部屋は、まさに「家外の家」であり、すべての滞在が実際の鍵で自分のフロントドアを開けるところから始まるべきだと私は強く信じています。

お気に入りは、サント・トロペのヴィンテージ風のホテル。スタイリッシュな真鍮製のタグが使われており、イタリアの城壁に囲まれた都市ウルビーノの歴史的な隠れ家では、両手で持たないと運べない中世風の部屋の鍵を渡されたこともありました。それは忘れられない思い出です。

また、よく考えられたオネスティバーにも大きな詩的な魅力があります。
オネスティバーはちょっとした悪戯心と楽しい気分を呼び起こします。静かな屋上で派手さのないバーや、ムーディーに照らされた廊下で、夜の締めくくりにぴったりな一杯を楽しむのが好きです。オネスティバーは飲み物だけでなく、夜中のお菓子も楽しめます。さらに素敵なのは、注文を記入するための美しい本が用意されていること。ちょっとぼんやりした楽しい時を思い出させるロマンティックなアイテムです。

次に挙げるのは?
「物」ではなく「感覚」です。私は意見を持ったフロントデスクのスタッフが大好きです。Googleでは見つからない隠れたバーや、最高のビーチを教えてくれるスタッフ。地域のことを隅々まで知り尽くし、まさにその土地の“応援団”のような存在がいるホテルは、それだけで価値があります。

旅行のためのディナーの予約に困ったときでも、問題ありません。マンハッタンで最高のコーヒーを見つける場所に迷ったときでも、彼らはちゃんと教えてくれます。思い出深いのは、南仏プロヴァンスの丘の上にあるホテルでの滞在。とても忍耐強いコンシェルジュが、地元の村々の地図を手書きでスケッチし、写真撮影にぴったりのルートを丁寧に描いてくれました。結果は?もちろん、大成功でした。

ホテルがその土地の魅力を大切にしている姿勢は、滞在中のさりげない瞬間にも感じられるべきです。たとえば、朝食のテーブルに地元の養蜂家が作った蜂蜜が並んでいたり、壁に地域のアーティストとのコラボ作品が飾られていたりするのを見つけると、とても嬉しくなります。

感傷的なものからお土産の魅力へ。美しいホテルの文房具には、思いがけない力があるんです。
ホテルでの思い出を振り返るとき、記念品としての価値に目を向けるのは自然なことです。その中でも、美しいホテルのステーショナリーは意外な魅力を持っています。特に、切手が貼られた封筒やヘッダー付きの便箋がセットになったデスクがあると感動します。旅先からお気に入りの友人に手紙を書く楽しみが広がりますし、使わずに残ったステーショナリーは、自宅でコーヒーテーブルブックの間にそっとしまって大切に保管しています。

同じように、ホテルからの出発時に贈られる小さなギフトも印象に残ります。かつてはどこかビジネスライクな印象のあったこうした記念品ですが、最近ではセンスの良い経営者たちによって新しい形に生まれ変わっています。手作りのショートブレッド、鶏舎で採れたばかりの新鮮な卵、エステートガーデンで育った植物の種など、高価でなくても心のこもった贈り物が旅の最後を彩ります。帰り道にそのギフトの話をし続けたくなるような、そんな特別な心遣いがあると、とても嬉しいものです。

こうしたギフトやサービスに共通しているのは、「細やかな気遣い」があることです。チェックインの瞬間だけでなく、滞在中ずっと続く思いやりこそが、良いホテルを素晴らしいホテルに変える鍵なのです。

P.S. 客室にバスタブがあるなら、専用のバス製品が用意されていると感激します。たとえば、カステッロ・ディ・レスキオの香り豊かなバスソルトなどは、私にとってポイントが高いアイテムです。