パリの街を歩けば、あちこちでブーランジェリー(パン屋)やパティスリー(菓子店)が目に飛び込んできます。これらはパリ文化に欠かせない存在で、焼きたてのパンやお菓子をテイクアウトするのはもちろん、店頭のテラス席でスイーツを味わいながら通りを眺めるのも格別です。シロップたっぷりの甘いお菓子が好きな人も、塩気のあるスナックを好む人も、パリを訪れたらペストリーやタルト、バゲットを味わうのは旅のハイライト。甘党のフラヌール(街歩きを楽しむ人)のために、パリでぜひ訪れたい珠玉の店を厳選しました。
1.メゾン・アレフ(Maison Aleph)
定番のクロワッサンとは一味違うものをお探しなら、モンマルトルとマレ地区に店舗を構えるブルータイルの可愛い店構えの「メゾン・アレフ」へ。シリア出身のペストリーシェフ、ミリアム・サベが幼少期の味からインスピレーションを得て生み出すのは、パリでは珍しいレバント地方のスイーツ。代表作は、軽やかで繊細な味わいの「季節のタルト」(中でもレモンタルトは感動的)や、風味豊かなクリームを詰めたニッド(巣)と名づけられた一口サイズの天使の髪の「巣状パイ」など、パリでは他にない個性的な焼き菓子が楽しめます。
2.カール・マルレッティ(Carl Marletti)
パリで最も美しいペストリーが並ぶと言われるのが、ラテン地区にある「カール・マルレッティ」。フレーバー入りエクレアや革新的なミルフィーユなど、店内に並ぶケーキはまるでミニチュアの芸術作品です。食べるのがもったいないほどの美しさですが、一口食べればその美味しさにも驚かされるはず。食べるのが惜しくなるほどの美しいスイーツを味わいたい方にぴったりの名店です。
3.ジル・マルシャル(Gilles Marchal)
マドレーヌ好きにはたまらないのが、モンマルトルの路地裏に佇む小さなパティスリー「ジル・マルシャル」。伝統的な焼き菓子や上質なチョコレートも揃っていますが、看板商品はなんといってもマドレーヌ。マルシャル氏の故郷であるロレーヌ地方が発祥のこのお菓子は、店の象徴にもなっています。ライムの皮とタイムでグレーズされたもの、ピスタチオペースト入り、チョコチップ入りなど、多彩なフレーバーで展開されています。
4.ヤン・クヴルール(Yann Couvreur)
パリ市内に複数店舗(ギャラリー・ラファイエット内にも)を展開しているにもかかわらず、常に行列ができる人気店。インスタグラムのフォロワー数が50万人を超えることからも、その人気ぶりがうかがえます。伝統的なペストリー(特にクロワッサンは抜群のサクサク感)に加え、タルトやロールケーキ、クッキー、ガトーなど、伝統的かつ革新的な焼き菓子が豊富に揃い、どれを選ぶか迷ってしまいます。
5.ザ・フレンチ・バスターズ(The French Bastards)
「ザ・フレンチ・バスターズ」は、サステナビリティとボリューム満点のスイーツを両立させるブーランジェリー。アーモンドクロワッサンやチョコレートバブカなどのパイ系から、エクレアやシトロンタルトといった繊細なケーキまで、豊富なラインナップが魅力です。現在ではパリ市内に6店舗を展開中。地元の旬の素材を使い、フードロス削減にも積極的に取り組んでいます。おすすめは、甘さと塩気のバランスが絶妙な「ピスタチオチョコレートルレ」。
6.デュ・パン・エ・デ・ジデ(Du Pain et des Idées)
伝統的な味を求めるなら、1875年創業の老舗「デュ・パン・エ・デ・ジデ」へ。美しいステンドグラスの天井にまず目を奪われますが、味わうべきはそのクラシカルなパン。バゲットや具入りのミニパヴェ、そして看板商品の「フレンズ・ブレッド(パン・デ・ザミ)」が揃っています。デザートには、チョコ&ピスタチオのエスカルゴやアップルターンオーバー、オレンジブロッサム入りブリオッシュなどの名物を味わえます。
7.ストレー(Stohrer)
ルイ15世の時代から続く歴史を感じたいなら、1730年にルイ王の専属菓子職人だったニコラ・ストレーによって創業された「ストレー」へ。パリ最古のパティスリーであり、豪華な内装と愛らしいケーキの数々が迎えてくれます。エクレアやタルト、フラン、そして店オリジナルの絶品「ラムババ」など、伝統的なフランス菓子がずらりと並びます。
エマ・ラヴェル著