イタリア南部・プーリアに佇むCastle Elviraは、歴史的な城をアートと共に蘇らせたラグジュアリーホテル。SLH加盟の隠れ家として注目を集めています。何世代にもわたる荒廃した城であったキャッスル・エルヴィラ。しかし今、スティーブン・ライズリーと夫ハーヴィー・B・ブラウンは、プーリア州で自分たちの現代的なおとぎ話を描き始めています。4年にわたる修復プロジェクトを経て、地元職人とともに天井や石造りの構造を可能な限り保存し、ついにハーヴィー自身のアートで壁を飾ることが叶いました。内装には独創的で遊び心溢れる要素を取り入れ、これらの特徴は、豪華さを保ちながらも心地よいゲスト体験に反映されています。
世界中の数多くの魅力的なホテルに足を運んできたことから、私は多くのインスピレーションを得ました。それらの体験を通じて、私は、豪華でありながらもチェーンホテルは時に無機質で規律的に感じることがあると気づきました。ゲストとして、時には自分が部屋番号の一つに過ぎないように感じることがありました。私の哲学は、ゲストがホテルに到着したとき、そこに溶け込まなければならないと感じるべきではなく、むしろ完全にリラックスし、まるで自分の家にいるかのように感じてもらえるのが理想です。
独立したホテルとして、私たちはより親密な体験を提供できるという利点があります。細部にわたって個別に工夫を凝らし、ゲスト一人ひとりが、ただの宿泊客としてではなく、まるで特別な体験をしているかのように感じてもらえるようにしています。
私たちのホテルの主なインスピレーションはアートとデザインです。夫はアーティストで映画監督であり、私たちは多くの国際的なアーティストとコラボして、彼らの作品を城の壁に展示しています。キャッスル・エルヴィラが開業してわずか1年で、私たちは「ヨーロッパ最優秀アート&デザインホテル」として評価されました。
キャッスル・エルヴィラは美しい歴史的建造物であり、その美しさは私たちが初めて目にした瞬間から心を打たれました。城は100年以上放置され、荒廃した状態で発見されましたが、それが私たちの創造力を解き放つまたとない機会となったのです。同時に、建物本来の優雅さや建築美には最大限の敬意を払いながら修復を行いました。
内部のインテリアやアートワークは、アンティーク、モダン、ヴィンテージ、特注デザインが織り交ぜられたエクレクティック(折衷的)なスタイルです。多くの訪問者がこの唯一無二の融合だと評価しています。
「ブティックホテル」という言葉は、今や多用されすぎて、本来の意味を持たないホテルにも使われていると思います。その点、カッスル・エルヴィラはまさに正真正銘のブティックホテルです。
キャッスル・エルヴィラは、敷地内には歴史的に価値のある建物が5棟あり、ゲストスイートはわずか10室のみです。それぞれの部屋はテーマが異なり、ひとつとして同じものはありません。これが、多くのホテル、さらには「ブティック」と称するホテルとは一線を画す、エルヴィラならではの特徴です。
一番人気なのは、城の屋上テラスでの夕暮れ時のアペリティーヴォの時間です。毎晩ゴールデンアワーに屋上バーがオープンしていて、そこからの景色はまさに天上の眺め。サンセットはため息が出るほど美しく、ただの絶景にとどまりません。
この時間帯は、多くのゲストが集まり、互いに出会い、その日を振り返りながら語り合う貴重なひとときでもあります。そしてそのまま、エルヴィラのレストランで夕食をご一緒されることもよくある光景です。ここでのお食事も、滞在中にぜひ体験していただきたいハイライトの一つです。
敷地内にある3つのプールは、丁寧に修復された落ち着きのあるイタリア式庭園の中に設けられており、ゆったりとした時間を過ごすのに理想的な場所です。各プールにはWiFi接続の音響システムがあり、お好きな音楽を流してご自身だけの空間を演出できます。日中の気分転換には、人気の料理教室や、ここならではのアートドローイングクラスにご参加いただくのもおすすめです。また「南のフィレンツェ」とも称される街、レッチェへもすぐの距離にあるので、気軽に小旅行を楽しむことも可能です。
とはいえ、なによりも大切なのは、ここで「何もしない贅沢」を味わうこと。リラックスし、空間の持つ雰囲気に身を委ねてみてください。そうすれば、何も必要ないと感じるかもしれません。
私にとって理想のラグジュアリー体験は、まさにこのカッスル・エルヴィラで実現させたビジョンそのものです。
私の理想のラグジュアリーは、美しい空間と卓越したサービスを包含しています。スタッフは、ゲストの個人の空間や休息時間を尊重し、過度に干渉したり、アップセルしたりすることはありません。私は、単に一晩の宿泊を提供するのではなく、記憶に残る、唯一無二の体験を求めています。
エルヴィラでは、最大20名のゲストに対して23名のチームで対応しており、全スタッフが「ゲストのプライバシーと静けさを尊重する」心得を持っています。必要なサービスはWhatsAppで連絡でき、いつ・どこで・どんなサポートが欲しいかをゲストが自由に選べる仕組みにしているため、サービスが押し付けがましくなることはありません。
私たちのビジョンは揺るぎなく、一貫しています。私たちは、美しさと静けさが共存する唯一無二のオアシスを創り出し、ゲストがインスピレーションと安心感を得られる空間を提供したいと考えています。
ありがたいことに、多くのゲストが私たちの取り組みを評価してくださり、リピーターとなり何度も戻ってきてくれます。正直に言うと、キャッスル・エルヴィラはすべての人に合うわけではありません。でも、それが成功の一因であると信じています。
すべての独立系ホテルに通じる話かもしれませんが、もし「誰にでも合うホテル」を目指してしまえば、結局どこにでもある「無難な」施設になってしまうでしょう。私たちはそうではなく「自分たちの感性に共鳴してくれる人々(=部族)」を惹きつけたいと思っています。
詳細・予約は [SLH公式サイト] にて:www.slhhotels.jp
著者:クロエ・フロスト=スミス