カイプー・オン・ザ・リーフとカイプー・ベルフリーは、中国で初めてグローバル・サステイナブル・ツーリズム協議会(GSTC)から認証を受けたラグジュアリーホテルとして、歴史ある港町・泉州において環境配慮型ホテルの新たな基準を築いています。晋江(ジン川)は、かつてヴェネツィアの探検家マルコ・ポーロをはじめ、世界中から訪れる商人や旅人を迎え入れてきた場所です。現在、オーナーのシャオラン・ジョウは、建築家・謝柯(シエ・クー)と協力しながら、泉州の豊かな遺産と現代的なデザイン、サステナビリティ、文化体験を融合させながら「シンプルで自然な暮らし」の美学を2つのカイプーホテルを通して発信しています。
「インディペンデント・マインデッド」であるということは、自分の内なる真実に目を向けることです。カイプーのすべてのホテルと同じく、それぞれが独自で個性的な人生観を映し出し、型にはまらない体験を提供することを意味します。
カイプーのホテルはすべて、土地の恵みと温かさに根ざしています。デザインにおいては、デザイナーやオーナー、運営会社の視点ではなく、あくまでゲストの視点から考えています。チェーンホテルのように画一的なグローバル戦略に基づいたものではなく、私たちのホテルは、その土地の文化から自然に生まれた体験を大切にしています。私たちは、建物のデザインや伝統工芸、現代の暮らし方、地域の自然環境に至るまで、その土地の文化を深く探求しています。歴史ある建物の中で営まれる日常や、自然の力強さ、人の手によって整えられた風景、そして人々の感情が交わるような、心が動く場所をつくろうとしているのです。
空間とは、その人の心や価値観を映し出す精神の自画像だと思っています。カイプーのホテルは、私にとって世界と対話するための手段です。そこにある空間は、個性を押しつけるのではなく、その土地の文化への敬意や、今という時間を大切にする気持ちを、目に見えるかたちで表現しています。伝統的な雰囲気と現代的な感性を融合させて、創造性と心地よさの両方を感じられる空間をつくっているのです。


カイプーは、フィンランド語の「カウコカイプー」に由来しています。これは、まだ見ぬ遠い土地への強い憧れや旅への渇望を表す言葉です。デザインのインスピレーションは、2つの永遠の永遠のスパイラルから生まれます。
ひとつは「新たな地を切り開くスピリット」。未知の世界への探究心を持ちながら、地理的要素を現代の視点で再構築し、プロジェクトごとに新たな旅へのオマージュを捧げます。
未知のフロンティアを探求する時、カイプーは探検者のような「新たな地を切り開く心」を持ち、現代的な視点からその土地固有の地理的要素を再構築します。そして、それぞれのプロジェクトが“未知なるもの”へのオマージュ(賛辞)になるのです。
もうひとつは「古きものを守り、再生させるスピリット」。古い建物を保存する時には、福建の豊かな家族文化や郷土愛に根差した精神を取り込み、歴史を新たな形で再生させ、旅人にとって長く記憶に残る場所を創り上げます。
カイプーは、風化した土地の物語やまだ開かれていない哲学の書物を携えて、古代の遺跡から未来の都市までを旅し続けます。「読むこと」(内省)と「旅すること」(行動)のバランスによって、常に冷静な澄んだ心と創造性を保っているのです。
カイプーの物語には、決まった出発点はありません。立地の選定から建設、運営に至るすべてが、偶然と必然の交差点で生まれています。ホテルとは、偶然の出会いであり、理想主義の実践なのです。
カイプーは旅人のニーズに応えるだけでなく、その土地の文化、自然、コミュニティに敬意を持ち、還元することを大切にしています。


カイプーの個性は、独立した精神とユニークな世界観にあります。超越した美意識、新しく斬新な文化、心を惹きつける体験を重視することで、本物の旅を求めるお客様のニーズを深く捉えています。サステナブルな創造力で、ブティックホテル文化をより豊かにしているのです。
カイプーの独自性は「対立する要素の融合」にあります。たとえば、カイプー・オン・ザ・リーフでは、自然の岩肌とモダンなデザインが融合し、カイプー・ベルフリーでは、歴史建築と現代的な文化イベントが共存しています。これらは、地域に根ざしながらも高い美意識を持つ旅体験を生み出しています。
カイプー・オン・ザ・リーフでは、穏やかで一人旅にも最適な「海が見えるスタジオ」や「スイート」に滞在してみてください。一般的な海沿いのホテルのようにパノラマの海を見せるのではなく、浴槽の横にある小さな窓から海を眺めることで、外の世界への想像力をかき立てます。
朝食には、地元・閩南の伝統料理「麺線糊(ミェンシェンフー)」から始め、昼は街の食堂で「満煎糕(マンジエンガオ)」「生姜鴨」「牛肉湯」などのローカルグルメを味わってください。夕食はホテルで、ドライエイジングビーフと新鮮な海の幸をお召し上がりください。食後には「ザ・リーフ・カクテル」を。テキーラ、大灰袍茶、海塩で作られ、海辺の暮らしと土地の文化を表現しています。テキーラは漁師の情熱を、大灰袍茶は彼らの日常を、そして海塩はこの海からの贈り物を意味しています。
一方、世界遺産の町・泉州には、歴史的建造物が多く残っています。カイプー・ベルフリーに滞在しているなら、近くの承天寺などの史跡を巡ってください。街の喧騒の中に遠くから聞こえる鐘の音が、この地の悠久の歴史を静かに語ってくれます。


今の旅人は、ただ観光地を見て回るだけではなく、もっと深く文化に没入し、感情的なつながりを求めています。私が考える「サステナブルなラグジュアリー」とは、長く使えるものや地球にやさしいもの、そして本質的な心に残る体験に重点を置いたものです。自然との丁寧なふれあい、地域文化の深い理解、そして目に見える美しさ以上の、その背景にある物語を感じられるデザインが大切だと思っています。す。
カイプーの未来に対する私たちのビジョンは揺るぎません。それは、ホスピタリティ業界に強い国民的誇りを根付かせることです。ホテルは単なる宿泊の場にとどまらず、地域文化と世界的な視点をつなぐ架け橋であり、自信と魅力を伝える役割を果たすべきだと考えています。
中国で初めてグローバル・サステイナブル・ツーリズム協議会(GSTC)認証を取得したラグジュアリーブティックホテルブランドとして、カイプーの各ホテルはGSTC基準に基づく持続可能な経営を徹底しています。これは気候変動、海洋資源、社会経済的要因、生物多様性のリスク、人材の持続可能性に重点を置き、ホテルや観光業の持続可能な発展を促進することを意味します。
私たちは土地に寄り添い、人々の心に共鳴し、地理的なつながりを大切にしています。すべての旅に新たな学びを宿し、持続可能な取り組みをしっかりと経営の基盤に置くこと。それがカイプーの未来を築く鍵だと信じています。
執筆:クロエ・フロスト=スミス