今年は旅行トレンドを予測するのではなく、SLHクラブ会員に直接アンケートを実施しました。SLHクラブ会員に「2026年に最も行きたいホテル」を調査したところ、浮かび上がったのは実に洗練されたラインナップ。野生動物の移動に合わせて場所を変えるサファリキャンプ、ウェルビーイングを重視した山岳リトリート、そしてヴィラの概念を再定義する熱帯雨林の隠れ家です。ここに紹介するのは、会員たちがいま最も訪れたいと考えているブティックホテル。予定やマイルを調整してでも足を運ぶ価値があり、2026年の旅の方向性を示す存在といえるでしょう。
ケープタウンの緑豊かなコンスタンシア地区(別名「ケープタウンのワインランド」)に位置するザ・セラーズ・ホヘノルトは、クラシックなカントリーエステートを現代的に解釈した一軒です。17世紀に建てられた優雅な邸宅は、9エーカーに及ぶ植物豊かな庭園とテーブルマウンテンを望む眺めに囲まれ、充実したワインセラーと、市内屈指の評価を誇るダイニングシーンを擁しています。
レストラン「ザ・コンサヴァトリー」と「ザ・ガーデン」で供される料理の多くは、庭で育てられた野菜や地元のフィンボス(南アフリカ固有植物)など、ほんの数歩先から収穫されたもの。ワインリストは、周囲に広がるコンスタンシア・ヴァレーへのラブレターのようです。日中はワイナリー巡りや海岸でのアクティビティ、近隣のカーステンボッシュ植物園の散策を楽しみ、夜はスパへ。アフリカの植物を用いたトリートメントや自然の要素を取り入れたセラピーが、心身を深く整えてくれます。


東京ステーションホテルは、東京の壮麗な赤レンガのターミナルそのものに組み込まれた、まさに洗練さと正確さが行き届いたラグジュアリーホテルです。100年以上にわたり街の景観を形づくってきた存在で、ドーム天井やヴォールト、磨き上げられた床が鉄道黄金時代の面影を伝える一方、体験は完全に現代的。日本ならではの直感的な「おもてなし」の精神に導かれています。
朝はアトリウムの天窓の下でゆったりと過ごし、夜は寿司や懐石、クラシックなフレンチまで揃う10の館内レストランへ。途中、革張りのバーでカクテルを楽しみながら、出発と到着の合間に長居したくなる空間が広がります。ホテルの外に一歩出れば、皇居東御苑の静けさ、銀座のきらめき、そして駅そのものが織りなす人の流れという、東京の名シーンがすぐそこにあります。


アンティグア西海岸の完璧な三日月形のビーチに抱かれるように佇むハーミテージ・ベイは、カリブのエスケープを極限まで洗練させたリゾートです。スイートは丘の斜面や海岸線から自然に立ち上がるように配置され、柔らかなリネン、ナチュラルウッド、潮風を感じさせる色調で統一。湾を見下ろすプライベートプランジプール付きや、ビーチフロントのテラスから海がすぐ足元に広がる客室もあります。
ここでの時間は、太陽に温められた穏やかなリズムで流れます。朝はスパデッキでのヨガや透き通る海でのスイムから始まり、午後は日陰のラウンジャーでのんびりと、夜はカクテルとグリルした魚の香りとともに一日が締めくくられます。大人向けで洗練されたオールインクルーシブも魅力。その日の朝に獲れた魚、キッチンガーデンのハーブ、島で育った食材を使った日替わりメニューが、絶景とともに屋外で供されます。
ターコイズ色に輝く湾を見下ろす陽光に満ちた丘陵に刻まれたリンドス・ブルーは、「高みにある静けさ」を体現する大人専用リトリートです。段状に広がるテラスや通路、エレベーターが、自然と視線と足取りをビーチへと導き、ガラス張りの客室やスイート、ヴィラからは常にエーゲ海を望めます。
デザインはあくまで控えめでコンテンポラリー。主役は海と空と光です。プライベートプールやペントハウスのサンテラス、洗練された2つのレストランが、上質な海辺の贅沢を添えます。ホテルの外では、白壁の街リンドスや丘の上のアクロポリスが別の表情を見せ、戻ればスパで感覚に訴えるトリートメントが心身のバランスを整えてくれます。湾を見下ろしながらの食事やバーでのひとときは、ロドス屈指の美しい海岸線にふさわしい静謐な体験です。


灯籠に照らされた小道と寺院の塀が交わる京都の静かな一角に佇むそわかは、何世紀にもわたる日本のもてなしの精神と現代的な快適さを融合させた、丁寧に修復された旅館です。障子や静かな中庭、そしてシダーウッドのスピーカーや雲のように柔らかなマットレス、地下深くから汲み上げられる清らかな水が共存しています。
京都の路地を思わせる回廊が続き、祇園での寺社巡りや舞妓探しを終えたあと、訪れる人の歩調は自然と緩んでいきます。清水寺の早朝参拝や高台寺での特別拝観、白川通りの夕暮れ散策など、文化はすぐ目の前。夜は宿に戻り、静かな時間の流れに身を委ねます。レストランでは季節の京料理を現代的に昇華し、バーでは上質な日本酒、焼酎、ジャパニーズウイスキーが楽しめます。


スパタウン・メラーノの高台、エメラルド色の森と南チロルのドラマティックな峰々に囲まれたミラモンティ・ブティックホテルは、心身を整えながら高揚感も味わえる山の隠れ家です。切妻屋根は周囲の山並みを映し、淡い色調と豊かな木材を用いたインテリアが、到着した瞬間から深い安らぎをもたらします。
スパは立地を最大限に活かし、ガラス張りのサウナや温水プール、岩から削り出したようなスチームルームが屋外との一体感を演出。3つの個性あるレストランでは、ミシュラン星付きシェフのもと、郷土料理と国際的な要素を織り交ぜた料理をアルプスの大パノラマとともに堪能できます。夏は森のトレイルや湖、ハフリンガー馬の乗馬、冬は極上のスキー。パラグライダーや星空の下でのルーフトップテント泊、あるいは静かな湯浴みまで、過ごし方は自由自在です。
太平洋を見下ろす断崖に沿ってテラコッタ色のテラスが連なるラ・カサ・ケ・カンタは、メキシコ沿岸の暮らしに深く溶け込むような滞在を叶えます。シワタネホ湾の自然な曲線に沿って建てられ、海上に浮かぶような岩彫りの淡水プールや、伝統的な茅葺き屋根のスイートが波音とともに迎えてくれます。
オープンエアのレストラン「マール・イ・シエロ」では、朝も昼も夜も湾が主役。朝日と午後の光、そして夜はランタンと星に照らされながら、獲れたての魚介と地域の鮮やかな味覚を楽しめます。スイムやクラランスのスパトリートメント、ラ・ロパ・ビーチや市場散策の合間も、ここでは時間が美しくゆったりと流れます。


ユネスコ世界遺産ドロミテの標高1,800メートルに位置するフォレスティスは、山岳の静寂を極めた存在です。かつての山頂サナトリウムを再生したこのサンクチュアリは、松材やプローゼ山の石、雪のように柔らかな色調を用い、森と峰々を切り取る大きな窓が特徴です。
「コンシダレート」および「ウェルビーイング」コレクションのメンバーとして、再生可能エネルギーや湧水、ゼロウェイスト、植林活動など、サステナビリティが日常に溶け込んでいます。ウェルビーイングはケルトのドルイド哲学やワイダ・ヨガ、森に着想を得たスパリチュアルに基づき、夜は野草や根、食べられる花を用いたフォレスト・キュイジーヌを、夕焼けに染まるドロミテを眺めながら味わいます。
「常にベストポジション」にあるサファリ体験。それがセレンゲティ・マイグレーション・キャンプです。この移動式エコキャンプは、セレンゲティを横断する大移動に合わせて場所を変え、轟く蹄、舞い上がる砂塵、捕食者たちの緊張感を最前列で体験させてくれます。
ベドウィン風のテントは大地に溶け込み、豊かな布地やランタンの灯り、内外の境界を曖昧にする眺望が魅力。専用バスルームやバトラーサービスにより、快適さも妥協しません。ガゼルがキャンプの近くで草を食み、鳥のさえずりが目覚ましとなり、夜はサバンナの音だけが響きます。ゲームドライブやウォーキングサファリ、アカシアの木陰でのピクニックが、シェフ特製のグルメハンパーとともに一日を彩ります。
キーマラは「標準的なヴィラ」という概念を完全に捨て、粘土のコテージ、テント付きプールヴィラ、ツリーハウス、鳥の巣のような彫刻的空間をプーケットの熱帯雨林に点在させています。4つの古代部族の神話に着想を得た建築は、土地と深く結びついた生き方を体現。小川や滝が敷地を縫い、自然素材と静かな儀式性が空間を満たします。
ジャングルの小道は瞑想洞窟や森のヨガデッキ、タイ伝統療法へと続き、トック・センやハーバルコンプレスなどのヒーリングが心身を整えます。食事も同様に、個々の健康目標と伝統的なタイの知恵に基づいた、ガーデン主導・プラントフォワードな料理。成熟した樹木を守る配置や野生動物の回廊保護、マングローブ再生やウミガメ保護など、環境保全にも積極的に取り組んでいます。

