チェファルに車で入ると、町を見守るようにそびえる壮大な「ロッカ・ディ・チェファル」が目に入ります。この歴史情緒あふれる景観は、かつては素朴な漁村だったチェファルの趣を色濃く残しています。今では観光客が多く訪れるようになりましたが、東海岸にあるタオルミーナほど洗練され過ぎておらず、その素朴な雰囲気こそがこのビーチタウンの魅力です。町の主要スポットは1日あれば見て回れますが、2〜3泊して、この土地の空気にゆっくり浸るのがおすすめ。パレルモからは直通列車が出ており、1時間弱でアクセスできる気軽な旅先でもあります。

チェファルでの楽しみ方

チェファルを満喫するには、のんびりと「ラ・ドルチェ・ヴィータ(甘い生活)」を体感するのが一番。町を散策したり、ビーチでのんびりしたり、美味しいシチリア料理を味わったり、理想的なバカンスの過ごし方ではないでしょうか。

旧港(Old Harbour)
旧市街にある 中世の城門、ポルタ・ペスカラから小さなビーチへアクセスできます。青いパラソルが並ぶビーチは混み合うこともありますが、タオルを広げたり、1日椅子を借りて過ごせる小さな砂地が見つかるでしょう。ゴールデンアワーにはコンクリートの堤防沿いでの撮影がおすすめ。チェファルらしい風景を写真に収められます。

チェファル・ビーチ(Cefalù Beach)
弓なりに続く長い砂浜と、透き通ったティレニア海。夏から初秋にかけて水温が高く、人々で賑わいます。パラソル付きの有料エリアのほか、無料で利用できる公共ビーチもあります。

メディーバル洗濯場(Lavatoio Medievale)
溶岩石の階段を降りていくと、チェファリーノ川の上に建てられた中世の洗濯場が現れます。当時の暮らしが垣間見られるスポットです。

ラ・ロッカ(La Rocca)
238mの岩山を登る片道約1.7kmのトレイル。急な坂道ですが、朝の涼しいうちに登れば爽快!頂上からはチェファルの町と海岸線を一望できます。

チェファル大聖堂(Cefalù Cathedral)
町のシンボルとも言えるノルマン様式の大聖堂。約1,000年の歴史を持ち、内部のモザイク装飾は一見の価値があります。教会にあまり興味がない方でも、ぜひ立ち寄ってみてください。

ヴィッコロ・カラッチョーロ(Viccolo Caracciolo)
カラフルなシチリア陶器が並ぶ、石畳の小さな階段道。色鮮やかな陶器の鉢からは花々であふれており、写真映えする場所として人気です。

ア・ルメーラ・ディ・ブロカート ジュゼッペ&C. S.n.c.(A Lumera di Brocato Giuseppe & C. S.n.c.)
伝統的な美しいシチリア陶器を扱う素敵な工房。鮮やかな赤・青・黄色のポットやお皿が並びます。外では職人さんが「ピーニャ(松ぼっくり)」を作る様子が見られることもあります。これはシチリア全土の家庭で健康と幸運を願って飾られる伝統的なモチーフです。

チェファルでの食事

シチリアを訪れる旅は、美しい景色と同じくらい「食」も大きな目的のひとつ。
チェファルの飲食店は観光客向けのお店が多いものの、探せば地元らしさを感じられる本格派もあります。

日中ずっと並べられているだけで味は今ひとつ。おすすめは旧市街を離れた「ヴィア・アルド・モーロ」にある家族経営の小さなスイーツ店「ジェラテリア・パスティッチェリア・カンジェロージ」。ジェラートやビスコッティに加え、シチリアで筆者が味わった中で最高のカンノーリを提供しています。訪れた際は、シュガーをまぶしたクリームやリコッタ入りの渦巻きドーナツ「カルツォッチ」もぜひ試してください。

チェファルではあまり感動するレベルのグラニータには出会えませんが、「アモレッリ・グラニテリア・シチリアーナ」であればかなり美味しく楽しめます。
シーフードは、「ロカンダ・デル・マリナイオ」や「ラ・ボッテ」が新鮮なパスタや魚料理で評判です。

チェファルでの宿泊先

チェファルの賑やかさから少し離れて、ゆったりと過ごしたい方には、海辺に佇むブティックホテルLe Calette N°5がおすすめ。ラ・ロッカのふもと、緑豊かな丘に囲まれたロケーションで、白壁にブーゲンビリアや地中海植物が映える、まさにプライベートビーチリゾートのような一軒です。

部屋は明るく風通しが良く、ティレニア海を望むものや、周囲のエメラルドグリーンの丘を眺められる部屋があります。白壁、鮮やかなブーゲンビリア、地中海の植物が点在する中で、自分だけのプライベートビーチリゾートのような感覚を味わえます。

この家族経営のホテルでは、複数のビーチへのアクセスが可能で、自前の「カレット・リーフ・ビーチクラブ」も利用できます。プールでゆったり過ごしたり、岩場の海岸で日光浴したり、海に何度も出入りしたりできます。

さらにスパやマッサージ、海岸沿いのボートトリップなど、特別な体験も用意されています。

シチリアでおすすめのブティックホテル

Susafa(スサーファ)|ポリッツィ・ジェネローサ
シチリア内陸部の田園地帯にある、心に深く響くようなリトリート。
200年以上前の農家を丁寧に改装したConsiderate Collectionの一員で、畑から食卓へつながる料理、オリーブオイル搾り、サクランボの収穫などを通じて、大地とのつながりを感じられます。

Hotel Villa Carlotta(ホテル・ヴィラ・カルロッタ)|タオルミーナ
イオニア海を見下ろす高台に建つ、貴族の邸宅を改装したブティックホテル。
エレガントな内装にモダンなエッセンスを加えたスタイルで、屋上レストランからはエトナ山を望む絶景を眺めながら朝食を楽しめます。

Hotel Villa Ducale(ホテル・ヴィラ・ドゥカーレ)|タオルミーナ
タオルミーナの丘に佇むロマンティックな隠れ家。
色彩豊かなインテリアや緑豊かなガーデン越しに、エトナ山とイオニア海を一望できます。
夕暮れ時のアペリティーボは格別です。

Donna Carmela Resort & Lodges(ドンナ・カルメラ)|カッルーバ・ディ・リポスト
エトナ山の麓、柑橘畑の中にひっそりと佇む自然派ラグジュアリーホテル。
火山石のホットタブ付きロッジや、敷地内で育てた食材を使ったガーデントゥガーニッシュのレストランなど、シチリアの自然を五感で味わう滞在が楽しめます。

Q92 Noto Hotel(Q92ノート ホテル)|ノート
18世紀のパラッツォ(邸宅)を丁寧に修復した、バロック様式の美を体感できるホテル。
オーダーメイドの家具と、中庭テラスから望む大聖堂が、静かで優雅な時間を演出します。

Villa Athena Resort(ヴィラ・アテナ リゾート)|アグリジェント
古代遺跡「神殿の谷」を見渡す絶好のロケーションに建つエレガントなリゾート。
手入れの行き届いた庭園、陽光が降り注ぐプールサイド、そして遺跡を望むレストランなど、考古学的な壮大さとスパでの静寂な安らぎが共存する、唯一無二の滞在が叶います。

著者:ジェノア・マテス